スゴイ話(これは実話です)




記憶が定かではないが、2006年の2月頃にあった出来事。

その日は某ホテルの宴会場で演奏の仕事がありました。
ミュージシャンは夜行性なので、「Cat」と例えられたりするのだけど、その日の仕事の入り時間は普段は寝てるような時間帯。もちろん昨夜の酒も残ってるし、意識は「ボーッ」としてる状態。

会場横の小さな部屋をバンド控え室として、主催者さんがとってくれてました。
演奏開始時間になったので、ステージへ…。もちろん「ボーッ」としながら。

普段は必ずカバンを持って行くが、その時に限り楽屋(控え室)に置いたままステージへ上がり演奏を始めました。しかも、バンドのトリオ全員が楽屋にカバンを置きっぱなし。そんな事、まず無いのだが、何故かその時に限り。

それとは裏腹に、ボーカリスト(シンガー)だけが、カバンを持って行ってました。いつもならカバンを置きっぱなしにする彼女(シンガー)だが、何故かその時に限り一人だけカバンを持って行きました。


その日の演奏は、長い休憩を挟んで計4Set。一回目の演奏が終った時に、主催者の方が出演料(ギャラ)を控え室に持ってきてくださいました。
各々、自分のカバンに頂いた封筒を入れる。僕も入れました。

でも、僕はお金を封筒のままカバンに入れておく事があまり好きじゃないので、財布に移しかえようと思ったら、財布が無い。(?)

「きっと、来る途中、高速道路のお金を払った時に助手席に財布を置いて、置き忘れてるんや。」と思い、車に見に行くが財布が無い。楽屋に戻り、「あれっ?どこに置いたんかなぁ?」と言ってたら、もう一人のメンバーも「俺も財布が無い!」と言い出す。
あと一人のメンバーは、ソファーでうたた寝をしてる。「おいっ!起きろ!財布あるか?」と聞いたら「無い…」との返答。
やられた!楽屋荒らしだ。

スグに近くのトイレのゴミ箱を見に行く。
掃除のおばちゃんがいたので、「財布落ちてませんでしたか?」と聞いたけど、「見てないです」とのこと。スグにホテルの従業員に知らせ、ホテル内をチェックしてもらうが、どこにもない。
そうこうしてる間に次の演奏時間になった。

2Set目の演奏は、バンドメンバー皆カバンを持ってステージへ(笑)。
演奏はしているが曲の事など頭には無い。演奏しながら、「まずクレジットカードを停止して、それから…」。会場を見渡して、怪しいヤツはいないか?

2Set目の演奏が終り、そこからが大変だった。
スグに警察へ連絡。カード類は全部ストップさせ、警察の事情聴取。もちろん、警察はホテルの裏口から一般の人に見えないように楽屋へ入ってきました。

財布が無くなった事は、イベントの主催者は知らない。ホテルの従業員はハラハラしてる。「もし、これが主催者に知れたら、ホテルが責任を問われるかも?」と…。ホテルマンの顔色を見てたら判った。でも、あえてこの事は主催者には言わない事にした。僕等とイベント主催者との今後の仕事関係を保つ為。ホテルとイベント主催者との関係を保つ為にも。

唯一の救いは、カバンを持っていかれなかった事。
もし、カバンごと持って行かれたら、手帳が無くなり仕事のスケジュールが分からなくなる。そして、カギも無くなるから、家に帰りたくても車すら動す事が出来ない。携帯電話も無くなったら人の電話番号がわからなくなる。
お陰さまで、それからは仕事のスケジュールや携帯電話のバックアップをマメにとる習慣が付きました。


そして、それ以来はカバンは肌身離さずに持ち歩く習慣が付きました。

ここからがスゴイ話です。

財布が無くなったので、その仕事が終ってから急いで新しい財布を買いに行きました。
僕はマルチストライプの財布がお気に入りだったので、同じ財布を買ったのです。

その三日後くらいに、銀行から電話がかかってきました。
「停止されたカードが見つかったと警察から連絡がありました」と…。「えっ?マジ?」(大概、警察からは連絡がなかなか無いのが普通です)

銀行から聞いた警察署にスグに電話して、財布を受け取りに行きました。

ナント!!冬の寒い中、神戸空港沖2Kmで船釣りをしてる人が、
僕の財布を釣り上げてくれたのです。これは奇跡というしかないでしょう。
財布の中を確認したら、お金と電車のICカードが無くなってて、あとはそのまま残ってました。
海水に濡れて色も変色し、ボロボロになってたけど、家に持って帰って乾かしました。
(左は普段使っている、新しく買った財布。右は奇跡的に戻ってきた財布)

これは運命。家の置き財布として使う事に決めました。


ありがとうPaul。僕はきみを大切に使い続けるよ!
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